ロープロファイル対応で補助電源不要なグラフィックボードのGTX750TiとGT730の性能

グラフィックボード(以下、グラボ)は、増設や交換が簡単で、大きな効果が得られるPCパーツの一つです。

省スペースパソコンやスリムPCなどの環境では、最新の大型グラボではなく、ロープロファイル対応のグラボから選ぶことになります。



このロープロファイル対応のグラボの中で高く評価されているのが、nVidiaの「GeForce GTX 750 Ti(以下、GTX750Ti)」です。マイクラやFF14くらいのゲームならば難なくこなせます。

逆にゲームをしない人には、オーバースペックに思えるかもしれません。ゲームはほとんどしないけど動画はいい画質で見たいという人は、GTX750Tiの半額程度で手に入る「GeForce GT 730(以下、GT730)」があります。こちらもドラクエXくらいのゲームであればとても快適に動きます。

GTX750TiとGT730のスペック

表はnVidia公表の数値であるため、リンク先の商品とは完全に一致しません。
スペック GTX750Ti GT730
CUDAコア 640 384
ベースクロック 1020MHz 902MHz
メモリ・インターフェース GDDR5 GDDR5
メモリ量 2GB 1GB
メモリバス 128bit 64bit
メモリクロック 5400MHz 5000MHz
バスタイプ PCI-E 3.0 PCI-E 2.0
占有スロット 2 2
消費電力 60 W 25 W
最小限必要な電力 300 W 300 W
nVidiaの公式データでは、GTX750Tiは640基のCUDAコアを持ち、ベースクロック(動作周波数)は1020MHz(ブースト時1085MHz)、メモリインターフェースはGDDR5で128bit接続、メモリ搭載量は2GBです。
一方、GT730は少々複雑で、コアと使用メモリ、メモリバス幅の組み合わせによって、3種類の製品が存在します。(上の表はGDDR5)

まずは、「Fermi」世代のコア(CUDAコアが96基、ベースクロックが700MHz)と、DDR3を128bit接続した物。
次は、一歩進んだ「Kepler」世代のコア(CUDAコアが384基、ベースクロックが902MHz)と、DDR3を64bit接続した製品で、最後はこの製品のDDR3をGDDR5へと変えた物です。
この中で、2番目の「Kepler + DDR3」のメモリ搭載量だけが2GB、残りは1GBとなっています。

「CUDAコア」というのは、CPUのコアと同じように、多ければ多いほど複数の処理を同時にこなせます。

そうなるとFermi世代のコアが大きく劣るように見えますが、コアの世代が違えば、内部での処理方法も変わることがあるため、単純に数字の大小だけで判断することはできません。
また、Kepler世代のコアを使った製品と比べた場合、メモリバス幅、つまりデータをやりとりする道の幅が2倍の128bitと有利になっています。
ですから、3種類とも「730」という型番(700番台でのランク)相当の性能、とnVidiaは考えているわけです。
もっとも、実際にはDDR3かGDDR5かだけを注意すれば問題ないでしょう。

GTX750Tiには、Keplerよりもさらに先の「Maxwell」世代のコアが使われています。
こちらはCUDAコアの数やメモリバス幅、動作周波数など、すべての点でGT730以上で、DDR3よりも高速なGDDR5に対応しています。
その分、消費電力は60Wとやや高めで、Keplerの「GT730 DDR3の23W」や「GT730 GDDR5の25W」に比べると2倍以上、Fermi世代の「GT730 DDR3の49W」よりも10Wほど上になっています。しかし、どれも補助電源は必要ありません。

保障は一切できませんが「GT730 GDDR5」であれば、最大240Wの電源でも動作すると思います。その理由は、最大出力29WのGT520が240W電源で動いているからです。


その他の違いとして、GTX750Tiは「4096x2160」の出力に対応し、GT730は「2560x1600」までとなっています。
(ただし、「Kepler」コアのGT730では色の再現性を落とすことでHDMIからの4K出力が可能です)

基本的な仕様の確認が終わったところで、実際の性能を見てみましょう。

GTX750TiとGT730の性能

グラフィックボードやCPUの性能を比較する際によく使われるPassMark社が公開しているベンチマーク結果では、GTX750Tiのスコアは「3685」、GT730は「925」となっています。ちなみに、第6(Skylake)世代のCPUに内臓されているGPUは、HD530が「963」で、HD510が「600」となっている。

「925 * 4 = 3700」ですから、GTX750TiはGT730のほぼ4倍の性能ということになります。
車の性能を調べる際、直線だけのコースだけで調べるのが無意味なように、すべてのベンチマークや実際の利用状況でGTX750Tiが常に4倍の値を出すわけではありませんが、絶対的な能力差として3倍以上の違いがある、と考えてください。

ベンチマークスコア

ゲームで使った場合については、たとえば「ドラゴンクエストX」のベンチマークでは、「フルHD・最高品質」でGT730(GDDR5)が「7058」、GT730(DDR3)が「4029」、GTX750Tiが「15981」というデータがドスパラ
のブログにあります。

ちなみに、私が以前「省スペースパソコンにグラボを増設した結果」で紹介したGT520のベンチマークスコアは、PassMark社が「368」、ドラクエが「標準品質・640×480」で「7303」でした。およそGT730の40%の性能です。

絶対値はCPUの性能にも左右されますから、ここで見るべきは相対値ですが、やはりDDR3版に対しては4倍近く、GDDR5版と比べても2倍以上高いスコアをGTX750Tiが叩き出しています。

しかし、ドラクエベンチの基準では「3000~4999」が「普通」、「7000~9999」が「とても快適」ですから、負荷の軽い3Dゲームしか遊ばないなら、GDDR5のGT730でも十分と言えますし、フルHDにこだわらなければDDR3版でも遊べます。

逆に、海外の大作3Dゲームを遊びたいなら、断然GTX750Tiがおすすめです。
現在の価格は、DDR3のGT730が6,500円前後、GTX750Tiが12,000円前後なので、約2倍の値段で3~4倍の性能が手に入ることになります。

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ゲーム以外の点で考えた場合、GTX750Tiのファンレスタイプは入荷するとすぐに売れてしまうというのが難点ですが、GT730にはファンレスの製品が多いため、ほどほどのパワーを持つ静音PCを作りやすいというメリットがあります。

省スペースPCの場合、大きなファンを付け辛いため、省電力=発熱が少ないという点でも有利です。
また、「GTX750Tiでもまだ物足りない」という場合に、世代交代までの一時しのぎとして買うという手もあります。
GTX750Tiには劣りますが、今使っているのが古いグラボや内蔵グラフィックなら、交換する価値は十分あるでしょう。

最後に、どちらのグラボもPCI-Eのx16スロットに挿すのですが、GTX750Tiはバスタイプが「PCI-E 3.0」となっています。古いマザーボードを使っていて、PCI-Eスロットが「PCI-E 2.0」だった場合でも動作はしますが、全力の性能を発揮することができません。

古めのマシンを使っている場合には、このことも考えながら選んでみてください。
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